股関節付近の突然の痛み:腸骨棘裂離骨折・疲労骨折

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腸骨棘裂離骨折・疲労骨折(ちょうこつきょくれつりこっせつ・ひろうこっせつ)

■どのような障害か

短距離走のスタートダッシュやジャンプ動作、サッカーでボールを強くキックしたときに、突然股関節の前面やや上のあたりに激痛が現れ、その後もジンジンとした痛みが引かず、運動が困難になります。10代の成長期によく起こる障害です。

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■なぜ起こるのか

骨盤は仙骨と呼ばれる中央の骨と、それを囲むように配置された2つの腸骨によって構成されています。
腸骨には上前腸骨棘と下前腸骨棘と呼ばれる突起があり、上前腸骨棘には大腿筋膜張筋と縫工筋が、下前腸骨棘には大腿直筋がそれぞれ付着しています。
急な動作をしたとき、筋肉の急激な収縮による強い牽引力(引っ張る力)により、付着部の骨が剥がれてしまうのが腸骨棘裂離骨折です。(上前腸骨棘裂離骨折に対しては縫工筋が主に作用)
ダッシュやジャンプでは上前腸骨棘の、キック動作では下前腸骨棘の裂離骨折を生じます。この障害が10代に多い理由は、成長期にある骨はまだ柔らかく、筋 力に対して十分な強度がないためです。ときには裂離骨折ではなく、繰り返しの負荷により腸骨棘が疲労骨折を起こすケースもあります。(→腸骨棘疲労骨折)
ハードな練習が続いて疲労が蓄積し、筋肉が硬くなっていることも原因のひとつです。

■どうしたら治るのか

X線検査で腸骨に裂離骨折が認められたら運動を休止し、一定期間安静にします。同時に、股関節周囲の筋肉の柔軟性を取り戻すためのストレッチを開始し、そ の後、股関節および体幹、下肢の筋力アップを目的としたトレーニングと、股関節周りの筋肉を上手に使うための機能訓練へと移行します。 治癒の状態に応じ て徐々に運動を再開していきますが、裂離した骨が完全に癒合する(くっつく)には2~3ヶ月の時間を要します。
疲労骨折の場合は運動量をコントロールしながらスポーツ活動を継続することが可能で、完全に休止する必要はありません。
いずれの場合も二週間に一度はX線写真を撮影し、定期的に骨の状態をチェックすることが重要です。