腱板断裂(けんばんだんれつ)
■どのような障害か
腱板とは、肩の周りにある4つの筋肉の集まり(インナーマッスル)のことで、その腱線維が断裂した状態をいいます。特に腱板は肩甲骨の肩峰という部分とで 挟み込まれやすく、傷付き、痛みを発生させます。また、血行が乏しいために治癒しづらく、加齢とともに傷みやすいという特徴もあります。
断裂の型は、完全断裂と厚みの一部にとどまる部分断裂に分けられます。部分断裂で範囲が小さければ治癒可能ですが、完全断裂では自然治癒はないと考えられています。
◎主な症状は・・・
・運動時や夜間に痛みが発生する。
・腕が高く挙がらなくなります。
・断裂した場所を押すと痛む。
■どうして起こるのか
年齢を重なるにつれ、腱板が弱くなり、転倒したときに手を着いて軽く捻挫した場合でも断裂が起こるようになります。まれに若年者でも大きな衝撃が加わったときには断裂が起きる場合もあります。
肩周辺の筋力、柔軟性が不足することで、関節の運動が正しく行われず、日常生活を過ごすだけでも、腱に対しての摩擦ストレスが大きくなり、傷んできます。
崩れた姿勢(猫背など)で肩を動かすと、摩擦ストレスがさらに大きくなり、その動作を繰り返すことによって、腱の損傷は加速し、断裂の可能性が高くなります。
■どうしたら治るのか
完全断裂の場合、手術(手術療法)が行われることがあります。関節鏡で断裂した筋を修復させる場合と、広い範囲で筋が断裂しているときは縫い合わせる場合があります。
手術をしない場合(保存療法)、損傷部の安静、抗炎症薬(痛み、炎症を緩和)を注射することで痛みを抑えます。
リハビリテーションでは、腱板に負担をかけないように姿勢や肩の動かし方を修正したり、必要に応じて筋力強化訓練、柔軟性をあげるためのストレッチなどを行います。