膝裏の腫れと違和感(特に中高年の方):ベーカー嚢腫
ベーカー嚢腫(ベーカーのうしゅ)
■ どのような障害か 主な症状は、膝の裏が腫れている。膝を曲げる際に圧迫感や違和感があるといったものです。50歳代以降の女性に多くみられます。膝の裏の腫れ具合と触診により簡単に診断できます。他の腫瘍との鑑別のために、超音波検査やMRI検査などを行うこともあります。
膝 の後ろにある滑液包(かつえきほう)といわれる袋で炎症が起こり、関節液が関節腔(かんせつくう)から滑液包に流れ込んで溜まることによりできる腫 瘤です。 滑液包とは、関節にある少量の液体(滑液)を含んだ袋で、皮膚、筋肉、腱、靭帯などと骨がすれる部分に位置し、摩擦を軽減させる働きがあ ります。様々な関節の近くに存在し,、膝関節には10数個の滑液包があるといわれています。滑液包に水が多く溜まってくると、内圧が高くなって強い痛みが生じたり、周囲の静脈に炎症を起こし たりすることがあります。
初めにベーカーという人が細菌(結核菌)による膝関節炎に合併する嚢腫として紹介したため、このような名前がついていますが、実際は細菌による関節炎よりも変形性膝関節症、関節リウマチ、半月板損傷、軟骨損傷といった膝の疾患に合併して起こることが大半です。 ■ どうしたら治るのか 膝関節の可動域制限や痛みなどがある場合には注射器で内容物を吸引します。一回の注射器の吸引で収まること もありますが、数日で再発を起こすことがあります。 吸引後に炎症を抑える注射や飲み薬を用いますが、強い症状がなければ時々吸引を繰り返しながら 経過を見ていく場合もあります。炎症の原因となっている病態(半月板や軟骨など)の治療を行わなければ症状を繰り返すことがあります。
手術が行われることは多くありませんが、痛みが非常に強い場合などには外科的手術で嚢腫を切除することも稀にあります。 |
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