足首を捻ってしまった(特に小学生):足関節腓骨遠位骨端線離開
足関節腓骨遠位骨端線離開(そくかんせつひこつえんいこったんせんりかい)
■ どのような障害か
小学生くらいの子供が、ジャンプの着地失敗などが原因で足首を内反(うちがえ)しに強く捻ったとき、外くるぶし全体とそのやや上方が腫れ、強い痛みとともに歩行困難となる障害です。
■ なぜ起こるのか
足関節は、内側~上方にかけて脛骨、外側に腓骨、それらに収まるように距骨という3つの骨で構成されています。成長期にある子供の骨には骨端線と呼ばれる成 長を司る軟骨の層が脛骨と腓骨に存在します。軟骨はX線写真には写らないので、骨端線は骨の隙間の様に見えます。個人差はありますが、骨端線は15~17 歳にはなくなり、ひとつのしっかりとした骨になります(これを骨端線の閉鎖と呼びます)。
また、足首の外側には足関節外側靭帯と呼ばれる3本の靭 帯があり、それらは腓骨の先端に付着します。足首を内反し捻挫したとき、骨端線が閉鎖していれば外側靭帯を切ってしまうことがほとんどですが、成長期にあ る子供の場合、骨と骨とをつないでいる靭帯が軟骨(骨端線)に比べると強い傾向があるため、捻挫などで強い外力が加わると、靭帯の強度に軟骨が負けて損傷 し、骨端線が開いてしまうケースがあります。これが足関節腓骨遠位骨端線離開です。
足関節にストレス(負荷)を加えながら撮影したX線写真を見ると、腓骨にある骨端線が正常な足に比べてやや開いているのが確認できます。
■ どうしたら治るのか
受傷直後からの適切な早期治療が非常に重要です。足首を捻ってしまったらすぐに診察を受け、治療を開始しましょう。X線写真で骨端線に大きなズレが認められる場合は、そのまま放置すると足の骨が成長障害を引き起こす恐れがあるので、正常な位置に戻す必要があります。
最 初の2~3週間はギプスで足首をしっかりと固定します。痛みが強くて足が地面に着けず、歩行が困難な場合は、松葉杖を一定期間使用します。腫れを最小限に 抑えるため、足首をイスの上に乗せるなど、出来るだけ高い位置に患部を保持するようにし、長時間立つようなことは避けます。
ギプス固定の期間が済 み、腫れや炎症がある程度治まっていれば、固定により固くなった足首を積極的に動かして、柔軟性を取り戻すリハビリテーションを開始します。足首周囲の筋 力強化とストレッチは、患部の血液循環を促進させ、治癒を早める効果があります。足首を上手に使うための下肢バランス訓練も重要です。骨端線離開と同時に 外側靭帯損傷を合併していれば、靭帯に対してのリハビリテーションも同時に行います。
完治までにはおおよそ1~2カ月かかります。骨端線離開で手術が必要になることはほとんどありません。