半月板損傷

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半月板とは…

半月板とは、大腿骨と脛骨の間に存在する軟骨組織で、膝の内側と外側に一つずつ存在しています。

半月板の役割は、大腿から受ける荷重を分散して衝撃を吸収する作用と膝関節の安定性や円滑な運動をもたらす作用を担っており、膝の機能にとって大変重要です。

 

 

 

 

 

半月板はコラーゲン線維が豊富な線維軟骨から構成されていますが、一度損傷されると血行に乏しいために治癒能力が低く、後年になって膝関節機能障害を来すことが報告されています。したがって、半月板損傷に対する適切な診断と治療が重要です。

損傷するきっかけ:

スポーツ中に膝をひねる、高いところから飛び降りる、膝を深く強く曲げるなど過度の負担をかけた場合に損傷することがあります。また、膝の靱帯損傷の既往があり、元々ゆるい状態であった場合には軽度の負荷が繰り返されて損傷することがあります。

一方、特にきっかけがなく、日常生活動作の中で損傷することもあります。加齢や体重、O脚などにより半月板に過度の負荷がかかっている場合や、生まれつきの半月板の形状により損傷が起きやすい場合があります。

症状:

歩行時や運動時の膝関節の痛み、腫脹だけでなく、膝崩れ(膝をひねるとずれる感じがする)、キャッチング(何となく引っかかるが膝が動かせる)やロッキング(引っ掛かる感じがして膝が動かせない)といった症状が特徴的です。ロッキングをした場合には膝をまっすぐに伸ばせないこともあります。 

治療方法:

半月板はコラーゲン線維から成る線維性の軟骨です。関節液によって栄養されており、血行が乏しい組織であることから、自己修復能力が非常に低いことが知られています。したがって以前は、損傷した半月を切除することが主な治療法とされていましたが、半月板切除後に長期間経過観察すると程度の差はあれ必ず関節軟骨が傷むことから、現在では温存を目的とした治療が重要視されています。

私たちは、従来縫合術が困難と言われていた複雑な損傷半月(横断裂・水平断裂・後根断裂・円板状半月損傷)に対しても、治癒反応を促進させる工夫と正確な縫合を行うことで、可能な限り半月の温存を図っています。

※半月板は、骨や軟骨など他の組織と異なり、再生が極めて難しい組織で、他にとってかわるもののない、かけがえのないものです。

安易に半月板を切除されて後悔することがないように、出来るだけ半月板を温存する治療を選択することをお勧めします。

半月板縫合手術:

手術には関節鏡と呼ばれる内視鏡を用います。関節鏡手術では膝の前面2-3箇所に1cm程度の切開をいれ、そこからカメラや器具を挿入して、関節内の処置を行います。半月板の縫合に、主にinside-out法とall inside法があります。どの縫合方法を用いるかについては、半月板損傷の形態や部位、大きさによって術者が最適な方法を選択します。inside-out法で半月を縫合する場合には、膝の側面に約3cm程度の切開が必要になります。半月板の縫合術は高い技術が要求されます。

当院は、国内でも高く評価を得ている熟練した技術と経験を有した医師が執刀にあたります。

半月板セントラリゼーション手術:

半月板の損傷が大きい場合や、変性を伴う場合には半月板の外方への逸脱を認めることがあります。その場合、本来の機能が損なわれ、半月板の荷重分散機能が失われて関節軟骨に対する負荷が増大することから、変形性関節症の進行や膝痛と相関があるとされています。

したがって、当院では、そのような場合には、半月板を内方化させる方法(鏡視下Centralization法)を積極的に行っております。

下肢アライメント異常(O脚やX脚)が原因の半月板損傷に対する

アラウンドニーオステオトミー手術:

特に外傷もないのに、半月板損傷をしてしまうことがあります。その中には、O脚やX脚などの下肢のアライメント異常が原因となっていることがあります。アライメントの異常があると、半月板全体に均等に荷重が分散されずに、一部に強い負荷がかかってしまうからです。そのような状況で、半月板だけ治療しても、また 同じ部位にストレスが集中してしまい、せっかく修復した半月板が、また損傷してしまい、再手術を余儀なくされることがあります。

したがって、アライメント異常が強い場合には、半月板の手術だけでなく、アライメントを正常化するために、骨を切って角度を矯正するアラウンドオステオトミー(矯正骨切り術)手術の追加をお勧めすることがあります。

膝関節周囲骨切り術(Around knee osteotomy:アラウンドニーオステオトミー)へのリンクはこちらから

提携施設 自由診療クリニック ゴールデンゲートクリニック